このたび、森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループでは、東南・南アジ ア各国のリーガルニュースを集めたニュースレター、MHM Asian Legal Insights第160 号(2024 年 2 月号)を作成いたしました。今後の皆様の東南・南アジアにおける業務 展開の一助となれば幸いに存じます。 ※本レターに記載した円建て表記は、ご参照のために、各現地通貨を現在の為替レー トで換算したものとなります。
マレーシアの Income Tax Act 1967 が改正され、2024 年 1 月 1 日より、一定の会社 の株式の譲渡益はキャピタルゲイン課税の対象となりました。改正後も個人による譲渡 については課税対象外とされていますが、会社等の法人による譲渡の場合は一定の課税 が生じます。 2024 年 1 月 1 日からの譲渡益課税の対象となるのは、以下の会社の株式の譲渡益で す。
1. 始めに
年始になると、今年の経済・法律情勢はどうかという話がよく議論される。特に日本はゼロゼロ融資の問題 もあり、法的倒産事件が増加するのではないかとも議論されるが、近時の情勢においては、それ以外のいく つかの点に留意する必要があるように思える。概括すると、①法的倒産手続への社会の期待はそれほど大き くない状態にあること、②他方で、経済的苦境以外の法的問題点が増加していること、③もう少し幅広い視
点で見ると、経済環境の変化をどのように捉えるか、という 3 点が重要といえる。
2. 私的整理手続が活発な理由
第1 はじめに
破産法67条は、破産債権者が、破産手続開始時点で破産 者に債務を負担している場合の相殺を、原則、認めています。 相殺の担保的機能に対する期待を保護するためといわれま す。
他方、破産手続の基本原則である債権者平等を損う相殺 は禁じられています。たとえば破産法71条1項2号は、「支払 不能になった後に契約によって負担する債務を専ら破産債権 をもってする相殺に供する目的で破産者の財産の処分を内 容とする契約を破産者との間で…締結することにより破産者 に対して債務を負担した場合であって、当該契約の締結の当 時、支払不能であったことを知っていたとき」は、相殺できない と定めています。これは、破産者と破産債権者との新たな取引 等で破産債権者に債務が発生すると、破産者が債権取得の 対価を代物弁済に供したのと同視できる場合があるため、支 払不能後の代物弁済が偏頗行為否認の対象となることとの 均衡を図るものといわれます。
第1 はじめに
一般に、債務者が「債務の承認」を行った場合には、当該債 務の消滅時効は中断することとなります(民法147条3号1 )が、 債務者が破産し、破産手続が開始されると、破産財団に属す る財産の管理及び処分をする権利は、破産管財人に帰属す ることになります(破産法78条1項)。
債務者本人ではない破産管財人が債務の承認をした場合 にまで、消滅時効の中断効が生じるかという問題については 従来必ずしも明確になっていませんでしたが、本決定では裁 判所がこの点に関する判断を示しており、また、破産手続のみ ならずその他の倒産手続全般でも問題となり得ることから、以 下、紹介いたします。
第2 事案の概要
はじめに
2023年12月22日、金融庁は、有価証券報告書および有価証券届出書ならびに臨時報告書において開示すべき「重要な契約」の類型やその開示内容を具体的に明らかにする「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正(以下「本改正」)を公表しました。本改正は同日付で公布されており、2024年4月1日から施行されます。重要な契約の開示に関する改正規定は2025年3月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書等、同年4月1日以後に提出される臨時報告書から適用されます。
本改正の公布と同時に、意見募集に対して寄せられたコメントの概要とこれに対する金融庁の考え方(以下「考え方」)も同時に公表されており、本改正に関する金融庁の見解を理解する上で参考となります。
1 中国を取り巻く環境の変化
一昔前までの中国は、世界の工場として、世界中 の生産性企業がその安価な労働力を求めて進出して いたが、中国の経済成長に伴い労働コストが増加し た結果、中国国内のより安価な地域や東南アジア等 の第三国に生産拠点を移したり、中国国内の事業を 整理・統合したりするなどの動きが出てきている。
近時、中国経済の先行きが不透明であることから、 中国子会社の再編・撤退を考えている企業も少なか らずあるのではないかと思われる。そこで今回から 複数回に分けて「中国子会社の再編・撤退」と題し て、中国子会社の再編・撤退にはどのような方法が あるのか、それぞれの方法の手続はどうすればよい のか、またどのような点に気を付ける必要があるの か等についてご紹介することとしたい。
2 選択肢は現状維持か撤退かだけではない
日本本社が中国子会社の業績を判断する場合、中 国子会社の事業全体をひとくくりにして見ることが 多いのではないかと思われる。すなわち中国子会社 が最終的に赤字であり改善の見込みがなければ撤退、 黒字であるもしくは赤字幅が少なく改善の見込みが あるということであれば現状維持という判断になる 傾向にあると思われる。
【東京地判令和5年3月27日(令和4年(ワ)18610号 商標権に基づく差止請求権不存在確認請求事件)】
【キーワード】
商標権、商標権侵害、実質的違法性、並行輸入、不存在確認請求、破産管財人
【事案の概要】
オンキヨーホームエンターテイメント株式会社(以下、「破産会社」又は「オンキヨー」という。)の破産管財人(以下、「本破産管財人」という場合がある。)が、パイオニア株式会(以下、「被告」という場合がある。)が保有する商標権が付され、香港にある倉庫に保有しているスピーカー等の在庫品(以下、「本件在庫商品」という。)を処分しようと、パイオニアに対し、商標権に基づく差止請求権不存在確認請求訴訟を提起した事案である。 結論としては、本破産管財人が敗訴した。このため、本破産管財人は本件在庫商品を処分(販売)することができず、破産財団の増殖を図ることができなかったと言える。
(※判旨及び本破産管財人のウェブサイトに基づき作成)
1. 始めに
JV(ジョイントベンチャー)は、自社の持たないノウハウ・経営資源等を JV パートナー間が JV を通じて相互に提供することで新たな価値を創出すると共に、リスクを適切に分担することに存在意義の 1 つがある。しかしながら、①一旦、JV パートナー間の関係が悪化すると、デッドロックや契約違反が生じ、円滑なビジネス運営に支障をきたし、また、②JV(対象会社)の財務状況が悪化すると、当該損失の処理を巡っ て、JV パートナー間で軋轢が発生することがある。
そこで、本稿では、そのような JV の処理を巡る問題を概観することとする。
2. 契約上の攻防
まず、JV パートナー間の関係が悪化した場合に備えて、通常は JV 契約において、①JV 関係の解消方法に関する条項、及び②紛争解決手段に関する条項が記載されていることが多いため、当該条項に従って処理を 行うことが想定される 。
1. はじめに
令和4年 4月に中小企業の事業再生等に関するガイドライ ン(中小版GL)の運用が開始されてから、1年半が経過しまし た1。中小版GLに基づく計画策定にあたっては、中小企業活 性化協議会における経営改善計画策定支援事業(405事 業)において、DD費用、計画策定支援費用、伴走支援費用 の3分の2(上限あり)の補助を受けることができます。かかる 補助金との関係では、中小企業庁及び独立行政法人中小企 業基盤整備機構(中小企業活性化全国本部)が「経営改善 計画策定支援事業(ガイドラインに基づく計画策定等の支援 <中小版GL枠>)マニュアル・FAQ」(本マニュアル)を公表し ておりますので、本稿では、中小版GLを利用した廃業型私 的整理手続との関係で、特に留意すべき点をご説明いたしま す。なお、本マニュアルは、今後、改訂・変更される可能性があ りますのでご留意ください。
2. 対象となる事業者について
私は、当事務所にて事務職員として勤務していますが、前職 は大阪地方裁判所の裁判所書記官として、裁判所での倒産 事務に携わっておりました。現在も当事務所の倒産事件につ き弁護士をサポートしていますので、元書記官の視点から、今 回は、前回に引き続き、債権届出書の記載事項のうち、届出 債権の特定についてお話いたします。