1 はじめに 

新型コロナウイルスの感染拡大が本格化した2020年4月頃 は、メディアなどで、2020年は企業の倒産件数が大幅に増加 するのではないか、という予測が少なからず見受けられました。 もっとも、実際には、企業の倒産、特に民事再生は大きく減少 しました。2020年の倒産動向については民間信用情報機関 等で発表1 されていますが、法的倒産案件の具体的な件数に 触れたものはあまりみかけないように思いますので、何回かに 分けて紹介したく考えています。今回は民事再生編です。

2 民事再生の利用状況

民事再生には、①主に企業の事業再生に活用される「通常 再生」、及び②個人のみが利用可能な「個人再生」の2種類が あります。この2つの手続のこれまでの利用状況は以下のとお りです2 。

3 企業の民事再生(通常再生)

Authors:
Location:

マレーシアの2016年会社法(Companies Act 2016)では、会 社の再建手続として、

① スキーム・オブ・アレンジメント(Scheme of Arrangement. 以下「SOA」といいます。)

② 会社任意整理手続(Corporate Voluntary Arrangement. 以下「CVA」といいます。)

③ 更生管財手続(Judicial Management. 以下「JM」といいま す。)

の3つが用意されています。

本稿では、これら3つの再建手続についてご説明いたしま す。

1.スキーム・オブ・アレンジメント (Scheme of Arrangement)

(1) 概要

Location:

Ⅰ TOPICS

今後のセミナー等の情報

◆AMT グレーターチャイナセミナー

当事務所では、中国メインランド、香港、台湾について、各専門家が各分野のトピックについて解説を行うシリーズ 講座(オンラインセミナー)を開催しております。今後数回の予定は次の通りです。具体的なテーマ及び日程には 変更が生じる可能性がありますので、正確な情報は直近のメールでのご案内をご覧ください。なお、本セミナーは 本ニュースレターの受信を頂いている皆様方を中心にご案内させていただいております。  第 8 回(中国メインランド):2021 年 8 月 26 日(木)14:00  外資企業の中国進出にかかる実務的検討~外商投資法施行後の影響を踏まえて~ 講師:アソシエイト弁護士 尾関 麻帆 上海オフィス顧問 銭 一帆

 

Location:

1 はじめに

日本では高齢化社会を迎え、経営者の高齢化が進む中で、中小企業の円滑な事業承継が喫緊の課題となっています。とりわけ、2020年2月以降のコロナ禍による業績悪化や過剰債務も重なり、事業承継を検討している中小企業の経営者やその関係者は少なくないものと思われます。

本稿では、中小企業が事業承継や事業再生・廃業を行う局面において、「経営者保証ガイドライン」が果たす役割・機能等について、実務上の留意点を踏まえて最新動向を解説します。

2 経営者保証ガイドラインの策定

中小企業では経営への規律付けや信用補完のために経営者保証がされることがあります。もっとも、この経営者保証について、中小企業の円滑な事業承継や、経営が行き詰った際に早期の事業再生や経営者の再チャレンジを阻害するなど様々な課題が指摘されていました。

Location:

事業再生・債権管理Newsletter 2021年7月号 2 本ニュースレターの発行元は弁護士法人大江橋法律事務所です。弁護士法人大江橋法律事務所は、1981年に設立された日本の総合法律事務所です。東京、大阪、名古屋、海外は上海にオフィスを構えており、主に企業法務 を中心とした法的サービスを提供しております。本ニュースレターの内容は、一般的な情報提供に止まるものであり、個別具体的なケースに関する法的アドバイスを想定したものではありません。本ニュースレターの内容につきま しては、一切の責任を負わないものとさせて頂きます。法律・裁判例に関する情報及びその対応等については本ニュースレターのみに依拠されるべきでなく、必要に応じて別途弁護士のアドバイスをお受け頂ければと存じます。 建設機械と即時取得 1 考察 建設土木作業に用いられる建機・重機(以下「建設機械」と いう。)には比較的高額のものが多い。資金繰りに窮した建設 機械の使用者が、リース物件や所有権が留保された物件で あるにもかかわらず、資金を得るために、事情を秘匿して建設 機械を第三者に売却することがある。このような場合に、真の 所有者から返還を請求された当該第三者が、建設機械の即 時取得を主張して争う事案が見受けられる。

Location:

事業再生・債権管理Newsletter 2021年7月号 8 本ニュースレターの発行元は弁護士法人大江橋法律事務所です。弁護士法人大江橋法律事務所は、1981年に設立された日本の総合法律事務所です。東京、大阪、名古屋、海外は上海にオフィスを構えており、主に企業法務 を中心とした法的サービスを提供しております。本ニュースレターの内容は、一般的な情報提供に止まるものであり、個別具体的なケースに関する法的アドバイスを想定したものではありません。本ニュースレターの内容につきま しては、一切の責任を負わないものとさせて頂きます。法律・裁判例に関する情報及びその対応等については本ニュースレターのみに依拠されるべきでなく、必要に応じて別途弁護士のアドバイスをお受け頂ければと存じます。 新型コロナウイルス感染症と個人債務の整理手続 -自然災害ガイドラインの新型コロナウイルス特則をご存知ですか- 1 新型コロナウイルスの影響を受けた個人の債務整 理の新たな手法 新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な感染拡大は、 ワクチンの接種開始により改善が期待されるものの、いまなお 収束を見ていません。

Location:

It's probably becoming a cliché to say that the future is already here, but it's hard to resist. New technology increasingly pervades every professional sector, including that of insolvency.

In a recent report by the Law Society on developing technology, the Chancellor of the High Court, Sir Geoffrey Vos, commented that: "Lawyers face a steep learning curve. They will need to become familiar with […] cryptoassets – conceptually and functionally."

Location:
Firm:

1 事案の概要

本件は、破産者が自動車の販売会社(A社)から購入した 自動車(本件自動車)について、契約に基づいて、自動車の 購入代金を立替払いした信販会社(B社)が、本件自動車に かかる所有権留保に基づき、自動車を破産者から引き揚げ、 本件自動車を査定し、破産者に不足額(未払の立替払金債 権等と自動車の評価額の差額)を通知した行為について、破 産管財人が、破産法162条1項1号により否認権の行使を主 張した事案です。

大まかな事実関係は、以下のとおりです。

① 破産者、A社(販売会社)及びB社(信販会社)の三者 で立替払契約締結(破産者が自己に代わってA社に 立替払することをB社に委託し、B社がA社に自動車 購入代金を一括して支払う。破産者はB社に対して毎 月分割で立替払分に分割手数料を加算した金額を支 払う。「本件立替払契約」。)。

本件立替払契約には、以下の条項がある。

(ア)破産者は、自動車の登録名義のいかんを問わず、A 社に留保されている自動車の所有権が、B社がA社に 立替払したときにはB社に移転し、立替払契約に基づ く債務を完済するまでB社に留保されることを承諾す る。

Location:

事業再生・債権管理Newsletter 2021年5月号 2 本ニュースレターの発行元は弁護士法人大江橋法律事務所です。弁護士法人大江橋法律事務所は、1981年に設立された日本の総合法律事務所です。東京、大阪、名古屋、海外は上海にオフィスを構えており、主に企業法務 を中心とした法的サービスを提供しております。本ニュースレターの内容は、一般的な情報提供に止まるものであり、個別具体的なケースに関する法的アドバイスを想定したものではありません。本ニュースレターの内容につきま しては、一切の責任を負わないものとさせて頂きます。法律・裁判例に関する情報及びその対応等については本ニュースレターのみに依拠されるべきでなく、必要に応じて別途弁護士のアドバイスをお受け頂ければと存じます。 所有権留保の落とし穴 ~最判平成21年3月10日を振り返る~ 第1 はじめに 次の事案において、Y社は、X社に対する債権の回収のた めに所有権留保を設定していたにもかかわらず、X社の経営 危機が迫っているときに、なぜかあえて折角の所有権留保を 放棄してしまいました。なぜY社はわざわざ権利を放棄した のでしょうか。 今回は、所有権留保の落とし穴を紹介したいと思います。 ① X社は動産(以下「本件動産」)を所有し、これを事業 に用いている。

Location: