1. はじめに
2022 年 11 月 25 日、株式会社SMBC キャピタル・パートナーズが、本邦最大の鶏卵業者で会社更生手続下にあるイセ食品株式会社の事業支援スポンサーとなることが発表された 。同月 30 日には、裁判所により、同スポンサーの代表者がイセ食品株式会社の事業家管財人に選任され 、本邦最大鶏卵業者の事業再生のための大きな一歩が踏み出されることとなった。
近年の会社更生手続においては、裁判所の監督の下、更生会社の事業支援スポンサーが選定されることは一般的な運用ともいいうるが、本件の会社更生手続は、イセ食品株式会社が自ら会社更生手続開始を申し立てたものではなく、一部の株主及び債 権者による申立てにより開始されたという特異な経過を辿っている。
以下では、申立て債権者のイニシアティブにより、債務者事業を維持し、再生につなげる手法の実例として、本件の経緯を概観することとする。
2.イセ食品グループの会社更生
The high-profile Chapter 11 case of the FTX Trading group involves its Japanese affiliates including FTX Japan, which operated a registered cryptocurrency exchange in Japan and has been ordered by the Financial Services Agency of Japan to suspend its business upon the filing for Chapter 11. Recently, a motion was made for entry of orders approving, among other things, the group to sell FTX Japan's business through so-called “363 sale”.
Restructuring & Insolvency Newsletter
December 2022 (Vol.1)
The first case in Japanese history where the debtor used simplified rehabilitation proceedings as a tool to "cram down"
minority lenders
I. Introduction II. Overview of the procedures used
- Turnaround ADR and simplified rehabilitation proceedings
III. Marelli case IV. Expected future developments
Mori Hamada & Matsumoto
1 東京地裁「倒産部」に(2022年4月
東京地裁では、2022年3月まで、長年にわたり、破産・民事 再生は民事20部(破産再生部)、会社2 ビジネス・コート(2022年10月)更生は民事8部(商事 部)によって事件処理がなされてきましたが、同年 4月より、会 社更生、特別清算及び外国倒産処理手続承認援助事件等 が民事8部から民事20部に移管され、民事20部の名称も「破 産再生部」から「倒産部」に変更1 されました2。
民事再生と会社更生はともに再建型の倒産手続であり、手 続が類似しているところもあることから、会社更生が民事20部 に移管されたことに伴い、従前の会社更生の実務運用が変わ ることも考えられるものの、民事20部としては、当面は民事8部 の運用を承継しつつ、破産・再生事件の運用状況も踏まえ て、利用者が利用しやすい、公正・適正性を担保した円滑な 手続運用を継続的に検討していく3 、とされていることから、当 面は運用が大きく変わることはないと思われます。
事業再生・債権管理Newsletter 2022年10月号 2 本ニュースレターの発行元は弁護士法人大江橋法律事務所です。弁護士法人大江橋法律事務所は、1981年に設立された日本の総合法律事務所です。東京、大阪、名古屋、海外は上海にオフィスを構えており、主に企業法務 を中心とした法的サービスを提供しております。本ニュースレターの内容は、一般的な情報提供に止まるものであり、個別具体的なケースに関する法的アドバイスを想定したものではありません。本ニュースレターの内容につきま しては、一切の責任を負わないものとさせて頂きます。法律・裁判例に関する情報及びその対応等については本ニュースレターのみに依拠されるべきでなく、必要に応じて別途弁護士のアドバイスをお受け頂ければと存じます。 販売先破産時の納入商品の取り戻しについて ~令和3年8月18日徳島地裁判決~ 第1 はじめに ビジネスにおいて商品を販売する上で、販売先が倒産してし まうリスクは常にあります。商品を納入したものの、販売先から 突然、弁護士名義で「事業継続が困難となったので、破産しま す。」というような書面(受任通知)が送られて来た経験を持つ 方もおられるのではないでしょうか。 もしそのような書面が来る直前に商品を納入していれば、納 入業者の担当者としてはなんとか当該商品を取り戻したいと 考えると思います。
事業再生・債権管理Newsletter 2022年10月号 6 本ニュースレターの発行元は弁護士法人大江橋法律事務所です。弁護士法人大江橋法律事務所は、1981年に設立された日本の総合法律事務所です。東京、大阪、名古屋、海外は上海にオフィスを構えており、主に企業法務 を中心とした法的サービスを提供しております。本ニュースレターの内容は、一般的な情報提供に止まるものであり、個別具体的なケースに関する法的アドバイスを想定したものではありません。本ニュースレターの内容につきま しては、一切の責任を負わないものとさせて頂きます。法律・裁判例に関する情報及びその対応等については本ニュースレターのみに依拠されるべきでなく、必要に応じて別途弁護士のアドバイスをお受け頂ければと存じます。 他の連帯債務者との関係で債務が消滅した場合における、 既になされた弁済の「法律上の原因」の有無 ~大阪地裁令和3年9月16日判決にみる弁済後の不当利得返還請求の可否~ 第1 はじめに 「法律上の原因」がない経済的利益の移転が生じた場合、 当該経済的利益の移転によって損失を被った者から、利益を 受けた者に対して、不当利得返還請求がなされることがありま す(民法703条)。
In brief
In Japan, any out-of-court workout requires the unanimous consent of all creditors to a restructuring plan. On 4 October 2022, the Japanese government announced that it is considering introducing new out-of-court workout rules. Under the proposed new rules, a restructuring plan will be binding if a majority vote of creditors and confirmation of the court is obtained. Such a majority rule is a common feature amongst schemes of arrangement in many other countries.
In more detail
法制審議会民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)部会(以下「部会」といいます)の第8回会議(2022年8月5日開催)において、「民事執行・民事保全・倒産及び家事事件に関する手続(IT化)の見直しに関する中間試案[1]」(以下「本試案」といいます)が取りまとめられました。現在パブリックコメント手続が実施されており、パブリックコメント期間は、2022年8月24日から2022年10月24日までになります。本試案については、その趣旨に関する詳細な説明資料として、部会事務局である法務省民事局参事官室において、「民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)の見直しに関する中間試案の補足説明[2]」が公表されています。
1 概要
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 このたび、森・濱田松本法律事務所では、各分野の近時のリーガルニュースを集めて、 Client Alert 2022 年 9 月号(Vol.105)を作成いたしました。実務における一助となれば 幸いに存じます。