1. はじめに-中国での再編・リストラと不正調査案件の増加
筆者は上海市に駐在して日中間の様々な案件に日々対応しており、関与案件の分野は多岐にわたるが、その中で近年増加しているのが「現地法人の再編・撤退及びそれに伴うリストラ案件」と、「現地法人における社内不正調査案件」である。こう述べると、「中国の日系企業は続々撤退しているのですね」とか「中国は不正が多くて事業が難しいですね」と感じられるかもしれない。
このような「後ろ向き」の案件が増加しているのは、日系企業を取り巻く事業環境の厳しさを示すものと見られかねないだろうが、実際に企業の方々と協働して現場の対応に取り組む身としては、やや異なった見方をしている。撤退・リストラ案件や不正調査案件の増加には複合的な背景があり、日系企業が中国事業を長期的に持続・発展させるための過渡的で必要なステップとして、より前向きに捉えてよいと感じる。中国事業で問題が生じた場合に、いわゆるチャイナリスクで一括りにするのではなく、より分析的に問題を把握することで解決の方向性が見えてくることは多い。本稿では、撤退・リストラ案件や不正調査案件の最近のトレンドの背景を整理しつつ私見を述べてみたい。
はじめに
2025年6月13日、「円滑な事業再生を図るための事業者の金融機関等に対する債務の調整の手続等に関する法律」(以下「早期事業再生法」又は「法」といいます。)が公布されました。早期事業再生法は、公正中立な第三者機関と裁判所が関与する形で多数決(議決権の総額の4分の3以上の同意等)による債務整理を新たに認めるものであり、日本の事業再生の実務に重要な影響を与えるものです。
早期事業再生法の公布を受け、2025年9月、産業構造審議会経済産業政策新機軸部会事業再構築小委員会の下に「早期事業再生検討ワーキンググループ」(WG)が設置され、事業再生の専門家を委員※1に加え、制度の詳細や運用について検討が進められています。同WGは2025年10月から12月にかけて3度開催され、同年12月26日、中間整理が公表されました※2。中間整理では経済産業省令で定められる内容やQ&Aで明確にすべき内容について提案されており、制度の内容や運用について理解する上で重要な意義を有します。そこで、本ニュースレターでは、中間整理の主な内容を紹介します。
1 はじめに
会社について債権放棄を伴う私的整理や法的整理を行う 際、経営者の保証債務については経営者保証ガイドライン (以下「GL」)を利用した保証債務整理を検討するところ、保 証人である経営者が金融機関の個人ローンやクレジットカー ドローン等の個人借入を行っていたという場合があります。本 稿では、保証人個人の借入に関するGL上の取扱いをご説明 いたします1 。
2 固有債権者のGL上の取扱い
GLにおける対象債権者とは、「中小企業に対する金融債 権を有する金融機関等であって、現に経営者に対して保証 債権を有するもの」と定められており、具体的には、金融機 関、信用保証協会、サービサー等を指します(GL1、 GLQ1-1)。固有債権者は、本来的な対象債権者ではありま せん。 しかし、GLでは固有債権についても債務整理の対象にす ることを禁止しておらず、「弁済計画の履行に重大な影響を 及ぼす恐れのある債権者については、対象債権者に含める ことができる」(GL7(3)④ロ)とされています2 。すなわち、固有 債権者の同意があれば、固有債権を含めて債務整理を行う ことができます。
3 固有債権者との協議
1 China Legal Update 2025 年 10 月 27 日 レアアース規制関連の一連の輸出管理公告(第 56 号、第 57 号、第 61 号、第 62 号) 弁護士 射手矢 好雄/ 弁護士 森脇 章/ 弁護士 中川 裕茂 弁護士 若林 耕/ 中国弁護士 屠 錦寧/ 弁護士 尾関 麻帆 弁護士 横井 傑/ 弁護士 唐沢 晃平 Contents Ⅰ. Topics 最近のセミナーや論文等の情報 Ⅱ. Lawyer's Eye 中華人民共和国輸出管理法に基づくレアアース規制関連公告等の分析と日本企業への影響 日本弁護士 横井 傑 上海オフィス顧問 繆 媛媛 Ⅱ.中国法令アップデート ・国家ネットワークセキュリティインシデント報告管理弁法 ←今号の注目法令 ・仲裁法(2025 年改正)←今号の注目法令 ・公証機関マネーロンダリング防止管理弁法 ・知的財産権資産評価の更なる規範化に関する若干問題の通知 ・食品安全法(2025 年改正) ・レアアース設備及び原料副原料関連品目の一部に対する輸出管理実施にかかる決定の公 布に関する公告←今号の注目法令 ・域外関連レアアース品目に対する輸出管理実施にかかる決定の公布に関する公告←今号 の注目法令 ・中重希土類関連品目の一部に対する輸出管理実施にかかる決定の公布に関する公告←今 号の注目法令 ・レアアース関連技術に対する輸出管理
はじめに
コロナ渦におけるゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)が終了したものの、物価高騰・人手不足等の外的要因も重なって収益が改善されず、ゼロゼロ融資等で増加した金融債務の返済や、税金や社会保険料といった公租公課の納付ができないことが原因で法的整理に至る中小企業・中堅企業等が近年増加しています※1。
そのような中、東京地方裁判所民事第20部(倒産部)が、今年4月から、負債総額50億円未満の株式会社を対象とする、簡易・迅速な会社更生手続の運用(小規模会社更生)を導入しました※2。
この小規模会社更生は、公租公課の納付に苦しむ中小企業・中堅企業等の事業再生における選択肢の一つとして注目されます。そこで、本ニュースレターでは、公租公課の納付が困難な中小企業・中堅企業等の状況について紹介した上で、小規模会社更生の概要、その活用方法や今後の検討が期待される点について紹介します。
公租公課の納付が困難な中小企業・中堅企業等の状況
1. 私的整理
はじめに
はじめに
1. はじめに
私的整理への多数決原理の導入(私的整理の多数決化)は、過去 10 年余りの間に何度か検討されてきたが、現在、経済産業省の主導により、改めて議論が進められている。背景としては、私的整理において金融債権者全員の同意が必要であることが、事業再生の円滑化に向けた課題として指摘されてきたことがある。 2022 年 6 月、自動車部品供給会社であるマレリホールディングス㈱の事業再生 ADR 手続(私的整理の一種)が、一部の外資系金融機関の反対により不成立となった(最終的には、民事再生手続における簡易再生という特則を利用)のは、そのような課題が表面化した例の一つである。
2. 事業再構築小委員会報告書について
※ 本ニューズレターは、2025 年 1 月 10 日現在の情報に基づいています。
2024 年 10 月 31 日に、Directorate of Investment and Company Administration(投資企業管理局、 DICA)から、insolvency practitioner(「倒産実務家」)の登録フォーム及び費用に関する従前の告示(Notification No.95/2020、「旧告示」)を失効させる旨の告示(Notification No. 177/2024、「本告示」)が公布され、本告示の内容が 2024 年 11 月 29 日付官報に掲載されましたので、その概要をお伝えします。
はじめに
本来は非適格組織再編であるものを形式的に適格組織再編の要件を充足させ適格組織再編とするなどの手法で租税回避が行われた場合、税務当局により「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」(法人税法132条の2)として更正処分が打たれ、その課税関係を否認(否定)されることがあります(同条を組織再編成に関する行為計算否認規定といいます。)。このような代表的な事例としては、ヤフー事件(最高裁平成28年2月29日第一小法廷判決)、TPR事件(東京地裁令和元年6月27日判決、東京高裁令和元年12月11日判決)が挙げられ、これらはいずれも繰越欠損金の引継ぎが否定された事案です。本稿で紹介するPGM事件(東京地裁令和6年9月27日判決)もグループ会社間の合併による繰越欠損金の引継ぎが問題となった事案ですが、行為計算否認規定を適用してなされた更正処分が初めて裁判所によって取り消された事案として注目に値します※1。
事案の概要