事業再生・債権管理Newsletter 2022年10月号 2 本ニュースレターの発行元は弁護士法人大江橋法律事務所です。弁護士法人大江橋法律事務所は、1981年に設立された日本の総合法律事務所です。東京、大阪、名古屋、海外は上海にオフィスを構えており、主に企業法務 を中心とした法的サービスを提供しております。本ニュースレターの内容は、一般的な情報提供に止まるものであり、個別具体的なケースに関する法的アドバイスを想定したものではありません。本ニュースレターの内容につきま しては、一切の責任を負わないものとさせて頂きます。法律・裁判例に関する情報及びその対応等については本ニュースレターのみに依拠されるべきでなく、必要に応じて別途弁護士のアドバイスをお受け頂ければと存じます。 販売先破産時の納入商品の取り戻しについて ~令和3年8月18日徳島地裁判決~ 第1 はじめに ビジネスにおいて商品を販売する上で、販売先が倒産してし まうリスクは常にあります。商品を納入したものの、販売先から 突然、弁護士名義で「事業継続が困難となったので、破産しま す。」というような書面(受任通知)が送られて来た経験を持つ 方もおられるのではないでしょうか。 もしそのような書面が来る直前に商品を納入していれば、納 入業者の担当者としてはなんとか当該商品を取り戻したいと 考えると思います。
事業再生・債権管理Newsletter 2022年10月号 6 本ニュースレターの発行元は弁護士法人大江橋法律事務所です。弁護士法人大江橋法律事務所は、1981年に設立された日本の総合法律事務所です。東京、大阪、名古屋、海外は上海にオフィスを構えており、主に企業法務 を中心とした法的サービスを提供しております。本ニュースレターの内容は、一般的な情報提供に止まるものであり、個別具体的なケースに関する法的アドバイスを想定したものではありません。本ニュースレターの内容につきま しては、一切の責任を負わないものとさせて頂きます。法律・裁判例に関する情報及びその対応等については本ニュースレターのみに依拠されるべきでなく、必要に応じて別途弁護士のアドバイスをお受け頂ければと存じます。 他の連帯債務者との関係で債務が消滅した場合における、 既になされた弁済の「法律上の原因」の有無 ~大阪地裁令和3年9月16日判決にみる弁済後の不当利得返還請求の可否~ 第1 はじめに 「法律上の原因」がない経済的利益の移転が生じた場合、 当該経済的利益の移転によって損失を被った者から、利益を 受けた者に対して、不当利得返還請求がなされることがありま す(民法703条)。
In brief
In Japan, any out-of-court workout requires the unanimous consent of all creditors to a restructuring plan. On 4 October 2022, the Japanese government announced that it is considering introducing new out-of-court workout rules. Under the proposed new rules, a restructuring plan will be binding if a majority vote of creditors and confirmation of the court is obtained. Such a majority rule is a common feature amongst schemes of arrangement in many other countries.
In more detail
法制審議会民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)部会(以下「部会」といいます)の第8回会議(2022年8月5日開催)において、「民事執行・民事保全・倒産及び家事事件に関する手続(IT化)の見直しに関する中間試案[1]」(以下「本試案」といいます)が取りまとめられました。現在パブリックコメント手続が実施されており、パブリックコメント期間は、2022年8月24日から2022年10月24日までになります。本試案については、その趣旨に関する詳細な説明資料として、部会事務局である法務省民事局参事官室において、「民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)の見直しに関する中間試案の補足説明[2]」が公表されています。
1 概要
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 このたび、森・濱田松本法律事務所では、各分野の近時のリーガルニュースを集めて、 Client Alert 2022 年 9 月号(Vol.105)を作成いたしました。実務における一助となれば 幸いに存じます。
第1 はじめに
経済的に困窮した取引先から債権(本稿では担保のない 一般債権であることを前提に論述します。)を回収し、その後 に取引先が破産に至った場合、その債権回収行為が破産管 財人から否認され、回収金を破産管財人に返還しなければ ならないことがあります。
この否認(講学上偏頗行為否認と称されます。)について破 産法は、次のような定めを置いています(下線は筆者)。
(特定の債権者に対する担保の供与等の否認)
第162条 次に掲げる行為(既存の債務についてされた担保 の供与又は債務の消滅に関する行為に限る。)は、破産手続 開始後、破産財団のために否認することができる。
一 破産者が支払不能になった後又は破産手続開始の申立 てがあった後にした行為。ただし、債権者が、その行為の当 時、次のイ又はロに掲げる区分に応じ、それぞれ当該イ又はロ に定める事実を知っていた場合に限る。
イ 当該行為が支払不能になった後にされたものである場合 支払不能であったこと又は支払の停止があったこと。
ロ 当該行為が破産手続開始の申立てがあった後にされたも のである場合 破産手続開始の申立てがあったこと。
Hajime Ueno, Masaru Shibahara and Hiroki Nakamura, Nishimura & Asahi
This is an extract from the 2023 edition of GRR's The Asia-Pacific Restructuring Review. The whole publication is available here.
In summary
Cryptoassets & Insolvency: Legal, Regulatory and Practical Considerations Shearman & Sterling 21 July 2022 Part I: Introduction and Background Introduction Cryptoassets have emerged from relative obscurity to become an increasingly significant and mainstream presence: in just five years the global market cap for cryptocurrencies rose from around $15bn to over $3tn at its peak in November of last year. This has fueled a prolific expansion of cryptofocussed businesses (e.g.
私は、当事務所にて事務職員として勤務していますが、前職 は大阪地方裁判所の裁判所書記官として、裁判所での倒産 事務に携わっておりました。現在も当事務所の倒産事件につ き弁護士をサポートしていますので、元書記官の視点から、今 回は「別除権」と「更生担保権」という倒産手続上の担保権に 関する用語についてお話いたします。
破産手続や再生手続においては、特別の先取特権、質権、 抵当権または商事留置権等の担保権は、倒産手続によらな いで権利を行使できるとされており、この権利のことを「別除 権」と定義しています(破産法2条9項、同65条1項、民事再生 法53条)。つまり、「別除権」とは、これら担保権が本来有する 権能、ほぼ担保権そのもののことを指しているといえます。
ところが、裁判所や弁護士が「別除権」という用語を用いる 場合は、かならずしも「担保権」の意味だけにとどまらず、「別 除権付き(破産または再生)債権」の趣旨で用いることも多く、 実務上はある程度定着した表現となっています。
よって、裁判所や弁護士とやり取りをする中で、「別除権」とい う用語が用いられている場合は、「別除権付き(破産または再 生)債権」の趣旨で用いられている可能性も念頭に置いておく と、すっきりとした理解につながる場合が多いと思われます。