In brief
1 2023 年 4 月 破産管財人による債務の承認と消滅時効の関係 ―別除権者との交渉過程等での債務承認に 消滅時効の中断の効力を認めた最新判例― 弁護士 関端 広輝/ 弁護士 片山 いずみ Ⅰ.破産手続開始後における被担保債権の回収 1.破産手続における担保権の取扱い(別除権) 破産法上、破産債権(破産法 2 条 5 項。破産者に対し破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請 求権であって、財団債権に該当しないもの。)は、破産手続によらなければ権利行使ができないことが原則とされ ています(同法 100 条、42 条 1 項・同条 2 項)。つまり、破産債権を有する債権者は、基本的には、破産手続 に従って配当を受けることしかできません。しかし、その例外の 1 つとされるのが「別除権」です。 FINANCIAL RESTRUCTURING GROUP NEWSLETTER 破産手続が開始された者の所有財産に担保権が設定されている場合、担保権者は、通常、自身の 有する被担保債権について、当該担保目的物からの回収を試みることになります。 そして、破産手続において破産管財人が選任されていれば、当該担保目的物の処遇や被担保債権 の回収に関し、担保権者が問い合わせや交渉等を行う相手は、当該破産管財人となります。
With the passage of several years since the outbreak of COVID-19 and additional external factors such as the soaring prices of various goods and services and the sharp depreciation of the Japanese yen, companies' financial conditions have deteriorated, while others are considering filing for restructuring proceedings, which is why the reduction of excessive debt has become a major issue as of late.
In an increasing number of restructuring cases of globally-operating companies, companies or funds outside Japan are becoming strong sponsor candidates, and even more foreign players are expected to be actively selected as sponsor candidates in the future.
In this article, we focus on the sponsor selection process in out-of-court restructurings and legal insolvency procedures in Japan, based on recent actual cases.
1 はじめに
令和3年10月、内閣に新しい資本主義実現本部(以下「実現本部」)が設置され、その具体化を進めるために、新しい資 本主義実現会議(以下「実現会議」)が開催されました。同年1
1月には実現会議から「緊急提言( 案)」が公表され、また、令和4年6月には実現本部から「新しい資本主義のグランドデザ イン及び実行計画(案)」やその工程表等が公表されました。
その中で、多数決による私的整理手続が検討されており、令和4年10月には、「新たな事業再構築のための法制度の方向性(案)」1が公表されました。
今回は、この「新たな事業再構築のための法制度の方向性
( 案)」の概要と、このような検討がなされた背景(現状の私的整理手続の課題)についてご紹介いたします。
2 現状の私的整理手続とその課題(全員同意)
私的整理手続は、窮境にある事業者が、主に金融機関からの借入金債務を対象として、支払時期の繰延べ(以下「リスケジュール」)又は債権放棄を求める内容を含む事業再生計 画案を立案して対象債権者に提示し、全対象債権者の同意を得て、事業再生計画案に沿って再建を図る手続です。
1 はじめに
破産手続の開始後も,破産者が自由財産から保険料支払 を継続し,契約更新を行ったとしても,その後に発生した共 済事故に係る共済金請求権は破産財団に帰属する(破産者 には帰属しない)と判断した東京高等裁判所の判決を紹介し ます。
2 事案概要
破産者は,破産手続開始決定前に自己所有建物等を目的 とする火災共済契約(「本件共済契約」)を締結し,破産手続 開始後も共済掛金の支払を継続し,本件共済契約は自動更 新されていました。破産手続開始決定・自動更新後,保険事故(「本件火災」)が発生しました。共済連合会は,債権者不確知を供託原因として,本件火災に係る共済金を供託しました
(「本件供託」)。破産管財人は,本件火災に係る共済金請求 権(「本件共済金請求権」)が破産財団に帰属するとして,本件供託に係る供託金請求権を破産管財人が有することの確認を求めました。他方,破産者は,本件共済金請求権は破産者の新得財産であるとして,共済連合会に対し共済金の支払を求めました。時系列は以下のとおりです。
1 はじめに
ファクタリングという言葉を聞かれたことがあると思います。ただ,ファクタリングと一口に言っても,複数の形式があり,主 として売掛債権の資金化のために行うもの(債権の売買)と, 貸倒れリスクを軽減するためファクタリング会社が債務保証を する保証形式のものとがあり,前者は担保付きの資金融資
(すなわち,売掛債権を譲渡担保とした金銭消費貸借契約) と接近する側面があります。
そこで,法的には,債権の売買となるのか,担保付きの資金 融資なのかは重要な問題となります。また,ファクタリングは, 法的倒産手続との関係でも様々な論点が出てきます。本稿では,ある裁判例を題材に,ファクタリングと倒産手続につい て検討してみたいと思います。
2 裁判例について
FTX Trading Ltd. ("FTX") and its affiliates (collectively, "FTX Group"), which operated one of the largest crypto-asset exchanges in the world through the FTX.com platform, filed for Chapter 11 in the United States on November 11 last year.
Background
The bankruptcy of FTX Trading, a major U.S. crypto assets exchange, is bringing to light the pitfalls of global bankruptcy. The reason for this is that FTX Japan, a Japanese subsidiary of FTX Trading, also filed for Chapter 11 bankruptcy protection in the U.S. This differs from the bankruptcy of Lehman Brothers Group given the Japanese subsidiary of FTX Trading did not file for bankruptcy in Japan due to a significant excess of assets.
第1 はじめに
令和4年3月4日付けで、経済産業省は金融庁・財務省ととも に「中小企業活性化パッケージ」を策定・公表し、同パッケージに 基づき、同年4月1日より、中小企業再生支援協議会と経営改 善支援センターを統合し、中小企業の収益力改善・事業再生・ 再チャレンジを一元的に支援する「中小企業活性化協議会」を 設置しました。
これは、日本の企業数の99.7%、雇用の7割を占める中小企 業について、コロナ禍の長期化等により増大する債務に苦しむ 状態が長く続いているという現状を踏まえ、事業者のフェーズ (収益力改善フェーズ・事業再生フェーズ・再チャレンジフェーズ)に応じたきめ細やかな支援を措置するとともに、描くフェーズを 一元的に支援する支援体制を構築することを目的とするものです。
中小企業活性化協議会が行っている再生支援は①窓口相 談と、②具体的な再生支援とに大きく分かれます。②具体的な 再生支援は下図のとおりです。本稿では、①窓口相談、②具体 的な再生支援のうち中小企業活性化協議会自身による支援の 概要についてご説明いたします注)1。