1. はじめに
2022 年 11 月 25 日、株式会社SMBC キャピタル・パートナーズが、本邦最大の鶏卵業者で会社更生手続下にあるイセ食品株式会社の事業支援スポンサーとなることが発表された 。同月 30 日には、裁判所により、同スポンサーの代表者がイセ食品株式会社の事業家管財人に選任され 、本邦最大鶏卵業者の事業再生のための大きな一歩が踏み出されることとなった。
近年の会社更生手続においては、裁判所の監督の下、更生会社の事業支援スポンサーが選定されることは一般的な運用ともいいうるが、本件の会社更生手続は、イセ食品株式会社が自ら会社更生手続開始を申し立てたものではなく、一部の株主及び債 権者による申立てにより開始されたという特異な経過を辿っている。
以下では、申立て債権者のイニシアティブにより、債務者事業を維持し、再生につなげる手法の実例として、本件の経緯を概観することとする。
2.イセ食品グループの会社更生
※ 本ニューズレターは、2022 年 9 月 8 日現在の情報に基づいています。
2022 年 8 月 30 日付のニューズレター(「8 月 30 日号」)では、Directorate of Investment and Company Administration(DICA) より、2022 年 9 月 1 日より、倒産法に基づき、以下のフォームが Myanmar Companies Online(「MyCO」)により利用可能となるとのアナウンスメントが発出されたことを速報としてお伝えしましたが、9 月 1 日から MyCO 上において実際に申請が開始できるようになった模様であり、今般、当該フォームが一般に公開されたので続報としてお伝えします。
- Form W-01 (会社の清算人の選任通知)
- Form W-09 (清算人による会社の清算に係る最終アカウント)
1. Form W-01 (会社の清算人の選任通知)
※ 本ニューズレターは、2022 年 8 月 29 日現在の情報に基づいています。
2020 年に制定されたミャンマー倒産法(「倒産法」)は、株式会社の通常清算もその対象にしているところ、清算人に必要とされる倒産実務家(Insolvency Practitioner、「IP」)の認定が倒産実務家委員会(「委員会」)からなされていないこと等を理由として、現在に至るまでその運用が正式には開始されておりません。
今般、ミャンマーの Directorate of Investment and Company Administration(「DICA」)より、2022 年 9 月 1 日より、倒産法に基づき、以下のフォームが Myanmar Companies Online(MyCO)により利用可能となるとのアナウンスメントが発出されました。
- Form W-01 (会社の清算人の選任通知)
- Form W-09 (清算人による会社の清算に係る最終アカウント)
当事務所所属弁護士がその会員になっているミャンマー倒産実務家協会(Myanmar Association of Insolvency Practitioners、
1. 2021 年を振り返って 2021 年に中国で最も注目を浴びた立法は「個人情報保護法」でした。また「データ安全法」も公布・施行されており、2017 年施行 の「ネットワーク安全法」と併せてデータ三法が出揃ったことになります。本稿でも紙数を割いて、それらの概要を紹介します。 そのほかにも、会社法、外商投資関連、環境法、破産法、各種取引法、知的財産、労働法、競争法等の各分野における重要な 立法や法改正が幾つもなされました。本稿では、2021 年における重要な立法や法改正を 2 回に分けて解説します。今回は、個人 情報保護法等を含むネットワーク情報関係、会社法分野、外商投資分野、環境法分野、破産法分野の重要立法等を取り上げま す。 2. ネットワーク情報関係 (1) 「中華人民共和国個人情報保護法」(国家主席令 91 号、2021 年 8 月 20 日公布、同年 11 月 1 日施行) ① データ三法に関する全体像 何度かの草案や意見募集を経て、ついに中国における個人情報保護法である中華人民共和国個人情報保護法(以下「個 人情報保護法」といいます。)が制定されました。これまで消費者権益保護法(2013 年改正)、権利侵害責任法(2010 年)といっ た個別法で規定されていた個人の情報保護について規定された点が最大の眼目といえます。
Ⓒ Nishimura & Asahi 2021 - 1 - 執筆者: E-mail 杉山 泰成 E-mail 坂本 龍一 Ⅰ はじめに ファクタリングは売掛その他の金銭債権を利用した資金調達手段としてメジャーなものであり、昨年来の新型コロナウイルス感 染症の広がりの影響を受けてはおりますが、世界的にその市場規模は拡張を続けており、FCI(Factors Chain International)によれ ば、アジア地域の市場規模は約 6400 億ユーロであり、これは世界市場の約 25%を占めます。アジア地域の中でも、中国の規模は 約 4330 億ユーロと圧倒的ですが、それを除けば、日本が約 500 億ユーロなのに対して、面積としては遙かに小さい香港が日本 に匹敵する約 450 億ユーロの市場規模を持つなど 1 、大変ファクタリングが盛んな地域であることが分かります。本ニューズレター では、このようなファクタリング市場としての香港の重要性を踏まえ、香港においてファクタリングビジネスを行われるに際して留意 すべき香港の債権流動化に係る法制度についてご紹介します。
I. Overview and Background
I. 概要と背景
2021 年 1 月 1 日、わずか数週間の議会審議を経た後、いわゆる「事業再建及び倒産法の更なる発展に関する法律 (SanInsFoG)」によって、ドイツ倒産法に重大な変更が加えられました。また、2019 年 6 月 20 日の指令(EU)第 2019/1023 号により 国内移行が義務付けられた全く新たな倒産前事業再建措置(「企業の安定化及び事業再建のための枠組みに関する法律 (StaRUG)」)に加えて、ドイツの立法者は、COVID-19 パンデミックの影響を受ける企業への圧力を緩和することを目的として、2020 年前半に導入された規則の一部を修正する改正を行いました。
II. 新たな事業再建手続
1. はじめに 新型コロナウイルス感染症により、入国制限等により人の移動が大きく制限され、旅客が大幅に減少しており、航空産業は大きな打撃を 受けています。そのような中、タイ政府は、本年 5 月 19 日、タイ国際航空が会社更生手続により再建を目指すことを決定 し、5 月 27 日、タイ中央破産裁判所は会社更生手続の申立てを受理しました。本年 8 月 17 日に第 1 回の債権者集会が開催される予定 です。 本ニューズレターでは、タイにおける事業再生に関する手続について解説します。 タイの倒産法制度は、破産と会社更生があり、いずれも 1940 年破産法 1 (Bankruptcy Act 1940)(「破産法」)に定められ、破産裁判所 (Bankruptcy Court)の監督下で実施されます。 会社更生手続(Business Reorganization)については、破産法の Chapter 3/1 に規定されており、支払能力のない債務者の事業維持と 再生を目的としています。アメリカ連邦倒産法の Chapter 11 を参考に立法されているため、Chapter 11 と類似している部分が多々見られま す。例えば、担保権者は原則として担保権の行使ができない点や、会社更生計画作成者が債務者の経営者でもよいとされ、DIP(Debtor In Possession)型も可能です。
1. はじめに
本年 7 月、経済産業省において、「事業再編実務指針~事業ポートフォリオと組織の変革に向けて~」(以下「本指針」)が策定・ 公表されました 1 。本指針は、日本企業における事業ポートフォリオの変革を後押しするためのベストプラクティスをまとめたもの で、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を促すコーポレートガバナンス・コードの実践に向け、これを補完するガイ ドラインの一つとして位置付けられています 2 。