1. はじめに-中国での再編・リストラと不正調査案件の増加
筆者は上海市に駐在して日中間の様々な案件に日々対応しており、関与案件の分野は多岐にわたるが、その中で近年増加しているのが「現地法人の再編・撤退及びそれに伴うリストラ案件」と、「現地法人における社内不正調査案件」である。こう述べると、「中国の日系企業は続々撤退しているのですね」とか「中国は不正が多くて事業が難しいですね」と感じられるかもしれない。
このような「後ろ向き」の案件が増加しているのは、日系企業を取り巻く事業環境の厳しさを示すものと見られかねないだろうが、実際に企業の方々と協働して現場の対応に取り組む身としては、やや異なった見方をしている。撤退・リストラ案件や不正調査案件の増加には複合的な背景があり、日系企業が中国事業を長期的に持続・発展させるための過渡的で必要なステップとして、より前向きに捉えてよいと感じる。中国事業で問題が生じた場合に、いわゆるチャイナリスクで一括りにするのではなく、より分析的に問題を把握することで解決の方向性が見えてくることは多い。本稿では、撤退・リストラ案件や不正調査案件の最近のトレンドの背景を整理しつつ私見を述べてみたい。
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