1 はじめに
日本では高齢化社会を迎え、経営者の高齢化が進む中で、中小企業の円滑な事業承継が喫緊の課題となっています。とりわけ、2020年2月以降のコロナ禍による業績悪化や過剰債務も重なり、事業承継を検討している中小企業の経営者やその関係者は少なくないものと思われます。
本稿では、中小企業が事業承継や事業再生・廃業を行う局面において、「経営者保証ガイドライン」が果たす役割・機能等について、実務上の留意点を踏まえて最新動向を解説します。
2 経営者保証ガイドラインの策定
中小企業では経営への規律付けや信用補完のために経営者保証がされることがあります。もっとも、この経営者保証について、中小企業の円滑な事業承継や、経営が行き詰った際に早期の事業再生や経営者の再チャレンジを阻害するなど様々な課題が指摘されていました。
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事業譲渡と破産
第1 事業譲渡に伴い破産を選択する場面
1 現在の経済状況
昨今のコロナ禍を原因とする経済の停滞により、急激に経 営状況が悪化する中小企業が増加しています。事業再生の 手段としては、中小企業再生支援協議会等を利用した任意 整理、民事再生手続を利用した再建型法的整理をまず検討 しますが、①既存の商取引債務を引き継ぐことを前提とした場 合はスポンサー選定が困難である、②スポンサーに対する事 業譲渡までの資金繰りが続かない、③公租公課の滞納等の 理由により民事再生手続で要求されている清算価値以上の 弁済の見込みがない、④債権者において合意可能な再建案 を債務者が提示しないといった事情から、再建型の任意整 理・法的整理を進めることができないという企業が増加してい ます。
2 破産手続を利用した事業譲渡
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