第1 はじめに

事業再生型の民事再生手続において、再生手続実施者と 再生債権者との再生計画案の賛成議決権行使の合意に向 けた活動が行われます。特に、従前の取引先との関係を維 持しながら、再生債務者の事業を立て直す方法による再建 計画の場合には、再生計画案の認可確定がなければ、全て の事業再生計画が頓挫してしまいます。その意味では、再生 手続実施者にとっては、再生計画案の賛成議決権行使の合 意に向けた行動は、これを否定すべきものではなく、再生債 務者の事業再生を現実に実現するために必要不可欠である 場合もあります。このことは、DIP型であるか管理型を問わ ず、大変重要な問題となります。

第2 再生手続における「賛成議決権行使和解契 約」についての問題提起

この問題をテーマとして扱う理由は、「賛成議決権行使和 解」の意味が注目されるに至ったことによります。この契機と なったのが最高裁令和3年12月22日決定〔本決定〕です。本 決定の内容と意義については、秋田弁護士が2022年4月の Newsletter(下記のURL)で報告〔以下、〔秋田報告〕といいま す〕しています。

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