1. はじめに

新型コロナウイルスの蔓延により企業を取り巻く環境は急速に変化しているところ、不採算部門からの撤退等再編の圧力は強まっており、M&Aを検討する企業は多くなっています。

M&Aや組織再編等を行うに当たっては、課税上のインパクトを検討する必要があり、資産・事業・株式等の譲渡によるのか合併や分割といった組織再編によるのか等、どのような取引形態を採れば課税上有利であるのかの検討が必要になります。その際には、適格の要件の充足、欠損金の引継ぎの可否等を検討します。

しかし、厳密な計画を経て、また場合によっては課税当局への相談も経て、税法上の適格要件、未処理欠損金の引継ぎ要件等を充足していることを確認した上で組織再編行為を行っても、その後の税務調査において、適格・非適格の別や欠損金の引継ぎが否認され、課税されることがあり得ます。

その際の課税根拠となるのが、世にいう伝家の宝刀である行為計算否認規定です。

今回は、組織再編行為に係る行為計算否認規定である法人税法132条の2について解説します。

2. 法人税法132条の2とは?

(1)導入経緯

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